クレジットカードの過払い金請求できる場合とできない場合

クレジットカードの過払い金請求できる場合とできない場合

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クレジットカード利用で過払い金が発生することってあるの?

クレジットカードを使って買い物をしたり、公共料金などの支払いをしている人は多いでしょう。一般的にクレジットカードを利用することは借金ではなく、お金の立て替えであるとみなされています。そのため、利息制限法の改正による過払い金の発生にも該当しません。

ところが、クレジットカードを利用していても過払い金が発生している可能性のある人がいます。それはどのようなケースなのでしょうか?

 

クレジットカードの2つの機能

クレジットカードには、“ショッピング枠”と“キャッシング枠”の2つの機能が設けられていることがあります。 ショッピング枠はお店の会計時などに利用することで、クレジットカード会社が立て替え金を支払ってくれる機能なので、先ほども述べたように利息制限法は適用されません。ショッピング枠で分割払いやリボ払いを利用した場合に設けられる金利手数料は、あくまでも割賦販売契約の立て替え金の手数料という扱いになっています。

ショッピング枠は法律的には、貸付金(借金)ではなく立て替え金だと覚えておくといいでしょう。

もう1つのキャッシング枠は、ATMなどで利用して融資を受けられる機能、つまり借金という扱いになります。そのため、利息制限法の上限を超える金利での貸し付けを行っていた場合には過払い金が発生しており、返還請求を行うことができるのです。

クレジットカードの場合は契約期間が長期にわたっていることが多いので、莫大な過払い金が返還される可能性がありますよ。

クレジットカードの過払い金、消滅時効の考え方って?

過払い金には消滅時効と呼ばれるものがあります。過払い金の発生した契約の最終取引から10年が経過すると時効をむかえてしまい、過払い金の請求が出来なくなってしまうのです。

消費者金融などで借金をする場合には、店頭へ行って契約書を交わし融資を受けます。そのため、1つの契約は借金をしてから完済するまで、最終取引は最後の返済日と考えられます。

そのあとで新たに借り入れをする場合は、新規契約を取り交わすか前回の契約のまま融資を受けることになります。前回の契約のまま融資を受けるのであれば、借金の空白期間があったとしても1つの契約であると認められることがほとんどです。

クレジットカードの場合、この消滅時効の考え方はどのようになるのでしょうか? そもそもクレジットカードにはカード自体の有効期限は設けられていますが、とくに問題がなければ自動更新となることがほとんどです。そのため、基本契約は同一であると考えられます。さらに、ショッピング枠や年会費システムがあるため、最終取引日がはっきりとしません。

 

年会費を払っていれば、取引継続と見なされる可能性大!

クレジットカードでの過払い金も、基本的には消費者金融会社などの借金と同様に、最終取引日から10年で時効成立となります。この最終取引日は、最後に借金を返済した日と考えればいいので、キャッシング枠を利用中の人であれば消滅時効をむかえる心配はないでしょう。問題はすでに完済してしまった人です。

ここで、ひとつ注目すべきなのが“年会費”の存在です。 たとえば、2003年にクレジットカードのキャッシング枠を利用して2005年に完済、その後も年会費を2010年まで支払っていたとします。 この場合、多くのクレジットカード会社(信販会社)は、キャッシングの返済完了時に取引は終了している、との主張をしてくるはずです。2005年で取引終了となれば、消滅時効から10年をむかえ、過払い金返還請求をする権利を失ってしまいます。

ところが上記のような場合でも、裁判の判例では、年会費の支払いが終了した2010年を取引終了時と見なす可能性もあります。ここで注目すべきポイントは「基本契約」です。 クレジットカードのキャッシングでは、原則として基本契約が1つしかなく、新たな借金をする場合にも契約の結び直しなどを行いません。そのため、すべての取引が継続しているとみなされるのです。新たに融資を受けていなくても年会費を支払っているのであれば、その基本契約の期間は継続していると判断されてもおかしくないでしょう。

ただし、まだ最高裁での判決が出ていないので明確な基準ではなく、裁判官の判断次第では、あまりにも空白期間が長いので同一取引だと認められない場合もあるようです。

過払い金返還請求でブラックリスト入り?

過払い金返還請求をしたことでブラックリストに載ってしまい、新たにクレジットカードを作れなくなってしまうということはあるのでしょうか。また、日常的に使用しているクレジットカードで過払い金の返還請求を行った場合、そのクレジットカードはそのまま使えるのでしょうか。

まず、過払い金返還請求でブラックリスト(事故情報)に載ってしまうことを心配する人は多いのですが、過払い金返還請求=債務整理(任意整理)ではありませんので、返済能力とは関係がなく、その後のキャッシングには影響しないと考えていいでしょう。

ただし、過払い金返還請求を行ったクレジットカードは、そのクレジットカード会社(信販会社)の判断によって利用停止とされてしまう可能性は高いでしょう。これは消費者金融会社を相手に過払い金返還請求を行った場合でも同様で、基本的に過払い金返還請求を行った貸金業者とは、その後の取引をするのは難しいと覚えておいてください。

日常的に使用しているクレジットカードの場合には、公共料金の支払い方法を変更するなどの事前準備をすませたうえで、過払い金の請求を行うといいでしょう。

 

ショッピング残高の多い人は任意整理になってしまう可能性も

また、ショッピング枠の利用残高がある場合に、そのクレジットカードの過払い金を請求すると、過払い金はまずショッピング残高に充当されます。そして、ショッピング残高よりも過払い金が多ければ、差し引いた金額を返還してもらうことができます。

ここで気を付けなければいけないのが、ショッピング枠の利用残高が過払い金より大きい場合です。この場合は、過払い金を充当した後に残っている金額を別途支払わなくてはいけません。この時すでにそのクレジットカードは利用停止となっているため、残額を支払う旨の和解契約書を交わすことになります。

これは任意整理と同様の手続きとなるので、ブラックリスト(事故情報)に記載されてしまい、結果的には、新たなクレジットカードを作ることができなくなってしまう可能性があります。過払い金より多い金額のショッピング枠を利用している人は、過払い金返還請求を行う前にショッピング残高を減らしておくようにするといいでしょう。

基本的には、クレジットカードでも貸金業者でも過払い金返還請求の手続きなどに違いはありません。ただ、クレジットカードは私たちの生活に密着したものですので、その後の生活に支障をきたしてしまわないような事前準備などが必要になることを覚えておくといいでしょう。

監修司法書士 計良 宏之

執筆・監修協力

認定司法書士/計良 宏之

東京司法書士会所属 第8484号
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 第1201114号

日本リーガル司法書士事務所の代表司法書士。過払い金請求や債務整理をはじめ相続や各種登記など、幅広い業務に精通している司法書士。過払い金請求・債務整理専門サイトの監修をする際は、普段聞きなれない専門用語や法律用語を分かりやすく説明することを心掛けています。

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    ※1 2009年8月掲載
    ※2 過払い金、債務整理含む借金問題

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